遺言を残すならどうする?法務局保管遺言・公正証書遺言・デジタル遺言をやさしく解説

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遺言は、単に書けばよいものではなく、
誰に、どの財産を、どのように残すかを整理したうえで、
後で実際に使える形に整えておくことが大切です。

法務局保管遺言がよいのか、
公正証書遺言がよいのか、
ご事情に応じて整理したい方は、お気軽にご相談ください。

遺言を残したいと考えたとき、よく比較されるのが法務局保管遺言公正証書遺言です。
また、最近はデジタル遺言という言葉を目にすることも増えてきました。

もっとも、これらは同じ制度ではありません。
それぞれの違いを正しく理解しないまま選んでしまうと、せっかく作った遺言が、後で使いにくくなったり、相続人同士のトラブルにつながったりすることもあります。

この記事では、まず法務局保管遺言とデジタル遺言の違いを整理し、そのうえで、現時点で実際に選ぶことの多い法務局保管遺言と公正証書遺言の違いを、わかりやすく解説します。

遺言制度をシンプルに整理すると、次のようになります。

【ポイント】
今すぐ利用できる現行制度
・法務局保管遺言
・公正証書遺言

これから制度整備が進む分野
・デジタル遺言

つまり、今すぐ遺言を作りたい場合は、基本的に
法務局保管遺言公正証書遺言のどちらかを検討することになります。

法務局保管遺言とは

法務局保管遺言とは、自筆証書遺言を法務局の遺言書保管所に預ける制度です。
新しい種類の遺言を作る制度ではなく、あくまで自筆証書遺言を法務局で保管してもらう仕組みです。

自筆証書遺言は、自分で作成できる反面、紛失・改ざん・隠匿のおそれがありました。
また、書き方に不備があると、相続開始後に問題になることもあります。
そこで、法務局が一定の形式確認をしたうえで保管する制度が設けられています。

法務局保管遺言のメリット

法務局保管遺言の主なメリットは、次のとおりです。

・遺言書の紛失や改ざんの防止につながる
・相続開始後に家庭裁判所の検認が不要になる
・比較的低コストで利用しやすい
・証人が不要である

自分で遺言を作りたいけれど、ただ自宅保管するのは不安、という方には使いやすい制度です。

法務局保管遺言の注意点

もっとも、法務局が確認するのは、主として形式面・外形面です。
たとえば、日付や署名など、方式の確認は受けられますが、内容そのものの適切さまでは保証してくれません。

たとえば、次のような点は別途注意が必要です。

・財産の書き方があいまいで特定できない
・遺言の文言が不明確で解釈争いになる
・遺留分への配慮が足りず、後日トラブルになる
・遺言執行者の定め方が不十分である

【注意】
法務局保管遺言は、形式面の安心はありますが、内容面まで完成させてくれる制度ではありません。

デジタル遺言とは

最近は「デジタル遺言」という言葉が使われることがあります。
ただし、現時点では、パソコンで打った文章やスマホのメモをそのまま有効な遺言にできる、という意味ではありません。

デジタル遺言とは、一般に、遺言制度のデジタル化に向けた制度整備の流れを指して使われることが多い言葉です。
つまり、今すぐ自由に使える完成済みの制度というより、今後の制度改正の対象として議論されているものです。

デジタル遺言で誤解しやすい点

よくある誤解として、
「Wordで作ればよい」
「スマホに遺言メモを残せばよい」
というものがあります。

しかし、現行の自筆証書遺言は、原則として、遺言者本人が本文・日付・氏名を自書して作成する方式です。
そのため、単にデータで保存しただけでは、現行法上の安全な遺言方式とはいえません。

【ポイント】
デジタル遺言は“今すぐ自由に使える遺言の完成制度”ではありません。
今の時点で確実に遺言を残したいなら、現行制度で考える必要があります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言です。
遺言者が内容を公証人に伝え、公証人が法律的な形式に沿って文章化します。

自筆証書遺言と異なり、遺言者本人が全文を手書きする必要はありません。
また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのおそれが低く、相続開始後の検認も不要です。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の主なメリットは、次のとおりです。

・公証人が関与するため、方式不備のリスクが低い
・内容を整理しやすい
・原本が公証役場に保管される
・相続開始後に検認が不要
・自書が難しい方でも利用しやすい

不動産が複数ある場合や、相続関係が複雑な場合、相続人以外に遺贈したい場合には、特に相性のよい方式です。

公正証書遺言の注意点

一方で、公正証書遺言には次のような特徴もあります。

・自筆証書遺言より費用が高くなりやすい
・証人2名が必要になる
・必要書類の準備に手間がかかる
・公証人との事前調整が必要になる

【ポイント】
費用や準備の手間は増えますが、その分、確実性と安全性は高くなります。

法務局保管遺言と公正証書遺言の違い

遺言制度を選ぶときは、次のように考えるとわかりやすいです。

費用を抑えたいなら法務局保管遺言

なるべく費用を抑えつつ、遺言書の紛失や検認の問題を避けたい場合には、法務局保管遺言が向いています。
証人も不要で、比較的利用しやすい制度です。

ただし、本文は自分でしっかり作らなければならず、内容面の詰めが甘いと、後で争いになる可能性があります。

内容の安全性を重視するなら公正証書遺言

一方で、財産が多い場合、不動産が複数ある場合、相続人同士の関係に不安がある場合には、公正証書遺言のほうが安心です。
公証人が関与するため、形式だけでなく、内容面も整理しやすくなります。

特に、次のようなケースでは公正証書遺言が向いています。

・不動産が複数ある
・相続人以外に財産を渡したい
・相続人同士でもめる可能性がある
・遺言執行者をしっかり定めたい
・本人の筆記が難しい

どちらを選ぶべきか

結論として、選び分けの目安は次のとおりです。

法務局保管遺言が向く方

比較的シンプルな財産内容で、費用を抑えながら、紛失防止や検認不要のメリットを確保したい方

公正証書遺言が向く方

内容の確実性を重視したい方、財産関係や家族関係が複雑な方、後日の紛争をできるだけ避けたい方

【結論】
シンプルで費用を抑えたいなら法務局保管遺言
確実性と紛争予防を重視するなら公正証書遺言
このように考えると選びやすくなります。

Q&A|遺言についてよくある質問

Q1. 法務局保管遺言は、自分で全部書かなければいけませんか?

法務局保管遺言は、自筆証書遺言を前提とする制度です。
そのため、基本的には、本文・日付・氏名を本人が自書して作成します。
ただし、財産目録については例外があります。

Q2. 法務局に預ければ、内容まで安心ですか?

法務局が確認するのは、主として形式面です。
そのため、内容の適切さや、後日の紛争予防まで保証してくれるわけではありません。
内容面に不安がある場合は、専門家への相談が有効です。

Q3. デジタル遺言は、今すぐ使えますか?

現時点では、一般にいわれるデジタル遺言は、自由に使える完成済みの制度ではありません。
パソコン作成やスマホ保存だけで安全に有効な遺言になる、という理解は避けたほうがよいです。

Q4. 公正証書遺言はどんな人に向いていますか?

不動産が複数ある方、相続人以外への遺贈を考えている方、家族関係が複雑な方、後日もめる可能性を減らしたい方に向いています。

Q5. 結局、どちらを選べばよいですか?

財産関係や家族関係が比較的シンプルで、費用を抑えたい場合は法務局保管遺言が使いやすいです。
一方で、確実性や紛争予防を重視する場合は、公正証書遺言が向いています。


まとめ

法務局保管遺言は、自筆証書遺言を法務局で保管する現行制度です。
費用を抑えやすく、検認不要というメリットがあります。

公正証書遺言は、公証人が作成する、より安全性の高い遺言方式です。
費用や手間はかかるものの、内容面も含めて完成度の高い遺言を作りやすいのが特徴です。

一方、いわゆるデジタル遺言は、現時点では、自由に使える完成済みの制度というより、今後の制度整備が進められている分野です。
そのため、今すぐ遺言を残したい場合は、法務局保管遺言か公正証書遺言を選ぶのが基本となります。

遺言は、作ること自体が目的ではなく、後で実際に使える形で残すことが大切です。
ご自身の財産内容や家族関係に応じて、適切な方式を選ぶことが重要です。

※各士業法の関係上、紛争が生じる恐れがある場合や税務上の問題を抱えている場合などは、適切な士業と連携して作成をサポート致します。どの専門家に依頼すればいいかわからない場合も、窓口になりますので、お気軽にお問い合わせください。

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